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日本商学研究学会 会長 挨拶

岩 邊 晃 三

日本商学研究学会会長の岩邊晃三(いわなべ こうぞう)です。埼玉大学名誉教授・聖カタリナ大学元教授で、会計学を専攻しています。

本学会は「商学」研究を志す人たちによって形成される故に、会員諸氏の動向によって当学会の方向性が定まっていくと考えます。会長としては、基本的には、その道筋を確認しつつ、勤めを果たしたいと考えています。

会長として現在考えています所信の一端を次に述べさせていただきます。

20世紀は近代化ということが強調されていました。20世紀後半に入って、学問は分化・専門化が進んできました。50年前までは商学という枠のなかで、本来の商業学、経営学、会計学等の科目が講義されていました。

しかし、50年経ってみますと、学問の専門化が進みあまりにも細分化されすぎて、ともすれば枝葉末節にとらわれる傾向となっています。21世紀初頭に諸般の状況から、学問の総合化が必要であると考えられてきました。

とりわけ、昨年9月、米国の150年続いたリーマン・ブラザーズの倒産に端を発した世界的金融危機を契機に世界の様相が一変し、今年6月初めには米国の象徴でもあった100年続いてきたGMが経営破綻しました。

資本主義経済を支えていた証券会社・自動車製造業の破綻は、これまでグローバル経済という名のもとに世界を支配してきた米国主導の経済が行き止まったことを象徴しているといえます。

これらの状況は、欧米のいわゆる近代科学を中心としてきた社会の終焉を迎えたものと考えられます。製造業中心、或いは金融中心といった経済社会が大きく変質したことを意味しているわけです。

本学会は、このような時代認識を踏まえ、新しい時代に適応した学会であるべきであると考えます。このような時代において、当日本商学研究学会の存在意義は真に重大であると存じます。

 

本学会におきましては、この変革の時代にあって、日本、或いは地方・地域の特有の文化を意識したうえ、新しい社会の創造に貢献すべく活動していくことが肝要であると考えます。

商業活動は、商品を仕入れ、それを消費者に販売することを意味します。これからの研究の課題は仕入れという行為も当然のことながら、その先にある商品を提供する製造業にまで対象は及ぶものと考えられます。また、販売の面でも、販売とかマーケティングだけでなく消費者問題の領域まで研究の領域を拡げていかなければならないと考えます。

今日、地球規模での環境破壊が大変な問題となっております。当学会でも、持続可能な社会実現のため当然に環境問題に関心を払わなければならないものと考えます。

また、世は情報化時代といわれて久しいですが、e‐businessなどをはじめとして進展する情報化時代に合わせて新しい手法のビジネスがいろいろ出現しております。これらにも新しい視点での研究が必要と思われます。

さらに、昨今の世相を見ますと、家庭崩壊ともいうべき現象が現われ、見るに堪えない事件が多発しています。これは日本人全体の道徳観が欠如している表れと考えられます。道徳観・倫理感の欠如は経済界・ビジネスマンにも蔓延しています。このような状況のもとでは、新たな経済倫理・商業道徳の確立が必要です。そして、それら企業のモラルと表裏一体となるべく明確な企業理念の樹立も必要です。これらも大きな課題となります。

なお、これまで、大方の学会が世の中の動向とは関係ない形で活動をしてきたと思われます。当学会は、総合的に整合性をもって、政策提言まで視野に入れての研究活動を行っていくべきものと考えます。

学界のみならず、実務界などから幅広い研究者の参加を求め、会員相互が切磋琢磨し研鑽を図りつつ、新しい社会に貢献し得る学会に成長するよう期待してやみません。

 

(平成21年6月14日)

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