学会誌レフェリー基準

日本商学研究学会 学会誌レフェリー基準
当規則は、平成22年7月7日から施行。
改正 平成28年6月18日

(目的)
第1条 この基準は、日本商学研究学会(以下「本学会」という。)が刊行する学会誌「商学研究」(以下「本学会誌」という。)の編集、レフェリー、審査等の業務を公正かつ効率的に推進するために、必要な事項を定めることを目的とする。

(論文審査委員会の業務)
第2条  論文審査委員会(以下「本委員会」という。)は、投稿論文等の本学会誌への掲載の可否につき、複数名の査読者によるレフェリーに基づき審査のうえ決定する。

2 本委員会は、査読者によるレフェリーに基づき審査する場合において、「査読者に対して投稿者の氏名を、かつ、投稿者に対して査読者の氏名を示さずにレフェリーを行う方式」(二重匿名レフェリー方式)によるものとする。

(学会誌に掲載可能な投稿論文等の研究領域)
第3条 本学会誌は、企業および経営に係る研究領域に属する科学的な研究成果を掲載するものとする。

2 投稿論文等が前項に規定する「研究領域」に属するものであるか否かについては、査読者によるレフェリーに基づく場合においては、本委員会は査読者の判定を考慮のうえ決定するものとする。

(投稿論文等の学会誌への掲載)
第4条  投稿論文等は、本委員会の決定により、次の掲載区分にしたがって学会誌に掲載する。
(1) 原著論文:研究目的の提示から結論への推論過程が明確に記述され、かつ、新たに得られた知見が独創的または創造的である研究成果
(2) 自由論文:研究目的の提示から結論への推論過程が明確に記述された研究成果
(3) 事例研究:特定の企業または産業に関する事例の調査にもとづき、特定の問題意識や課題が明示的に記述されている研究成果
(4) 研究ノート:問題意識が明確であり新しい知見が記述されているが、結論に至る推論が十分でない研究成果
(5) 論壇:本委員会からの依頼を受けて記述された研究成果等
(6) 書評:おおむね1年以内に発表された著書や論文等の論評

(レフェリーにおける判定事項)
第5条  査読者は、投稿論文等のレフェリーにおいて、当該投稿論文等に関して「学術上の独創性ないし創造生および貢献性」、「防御可能性」、「構成と体裁」、「記述等の適切性」、「未公表性」、「題目の適切性」、および「学術的水準」の各事項につき判定し、本委員会にその総合判定を報告するものとする。

2 査読者は、投稿論文等に関して各号のいずれかについて「学術上の独創性ないし創造性および貢献性」が認められる否かを判定する。
(1)問題設定、問題提起、理念提起。
(2)発明、発見等。
(3)方法、技法、解法等の提案、開発、証明等。
(4)理論またはモデルの構築、システム設計等。
(5)研究方法論、アプローチ等。

3 査読者は、投稿論文等の「防御可能性」に関して、投稿論文等に示された知見につき理論的根拠、証明等が示されていること、または統計データ、事例研究等による検証が示されているか否かを判定する。

4 査読者は、投稿論文の「構成と体裁」に関して、「はじめに」(序論)、「結語」(結論)、「引用・参考文献」の各部分が以下の各号に定める形式上の要件を満たし、論文として完結しているか否かを判定する。
(1)「はじめに」(序論)の部分において、次のことが明記されていること。
1) 研究目的が明確に述べられていること。
2) 研究の必要性と意義が明確に述べられていること。
3)規範的研究方法、実証的研究方法、経験的方法等の研究方法が述べられていること。
4)投稿論文等に係る研究の主要な先行研究が述べられていること。ただし、先行研究については別に節において述べることができる。
5)投稿論文等の構成(章だて)が示されていること。
(2)「結語」(結論)の部分において、「はじめに」で述べられた研究目的に対応する研究成果(知見)、および本論部分の主張点の要約が明記されていること。
(3)「引用・参考文献」の部分において、投稿論文等の研究に必要な、または関連する論文、著書等が適切に示されていること。

5 査読者は、投稿論文等の「記述等の適切性」に関して、その内容と記述に誤りとあいまい性がなく適切であり、数式、図、表等が正確で理解し易く、かつ論文の要旨(趣旨)が明確に示されているか否かを判定する。

6 査読者は、投稿論文等が論文、著書等において未公表であることを確認する。ただし、学会等における研究報告のために公表されたレジュメ、予稿集、資料等は、未公表のものとみなす。

7 査読者は、投稿論文等の「題名の適切性」について、その題目が投稿論文等の研究目的および研究成果を表現するのに妥当であるか否かを判定する。

8 査読者は、投稿論文等の「学術的水準」について、その内容が関連する研究領域の教科書、入門書、解説書等の水準ではなく、学会誌のとして新しい知見を提示するものにふさわしい科学的な学術論文の水準に達しているか否かを判定する。

(論文以外のレフェリー)
第6条  投稿論文等のうち第4条第1号に定める「原著論文」として投稿したもの以外については、第5条に定める判定基準の適用を緩和するものとする。

2 本委員会は、前項の「原著論文」として投稿されたものについて、自由論文、事例研究または研究ノートとして掲載すべきものとして、投稿者に勧告することができる。

(実証的研究資料の提示請求)
第7条 査読者および本委員会は、投稿論文等の研究が経験的方法に従っている場合には、投稿者に対してその研究が基づいた質問票、集計結果、公表可能な会社名リストなどの提示を求めることができる。

(査読者によるレフェリーの手続き等)
第8条  本委員会は、投稿論文等を受付けた場合には、その論文要旨等を参照して、レフェリーを担当する査読者を選任する。

2 第4条第1号に定める「原著論文」として掲載を求める投稿論文等1編に対する査読者は原則として2名とし、これ以外の掲載区分で掲載を求める投稿論文等に対する査読者は1名とする。
(1) 選任した査読者に対し、所定の書式を用いて論文のレフェリーを依頼する。
(2) 査読者は、所定の書式により所定の期日までに、総合判定の結果を本委員会へ報告しなければならない。
(3) レフェリーは、査読者に投稿論文等を投稿受付日より2ヶ月以内終了させるものとする。ただし、査読者が予め返却期日を指定してレフェリーを了承した場合は、査読者に投稿論文等を投稿受付日より予め指定した返却期日までに終了させるものとする。
(4) 査読者がレフェリー期限経過後15日をすぎても返却しない場合は、直ちに代替の査読者を選任し審査を依頼することができる。
(5) 投稿論文等の改善・訂正を要請された投稿者が査読結果を連絡してから1ヶ月が過ぎても投稿論文等を再提出しない場合は、投稿論文等を取り下げたものとみなし、審査を終了するものとする。ただし、正当な理由により投稿者から本委員会へ期限延長の申し出があった場合は審査を継続することができる。
(6) 投稿者は、査読者より投稿論文等の題名を訂正するよう指摘された場合、題名を訂正することができる。
(7) 投稿者に対する査読者の指摘に関して、投稿者から本委員会に対して書面による異議の申立てがなされた場合は、本委員会は、査読者と投稿者に本委員会の意見を示し、裁定するものとする。ただし、査読者が書面による異議の申立てをする場合には理由を明示しなければならない。

(査読者による総合判定)
第9条  査読者は、投稿論文等について第5条に定める判定事項についてレフェリーを実施し総合判定を行うものとし、次の各号にしたがいレフェリー結果を本委員会に対して報告するものとする。
(1) 評点A:適格であり、受理してよい。
(2) 評点B:指摘した事項の改善・訂正を要請するが、再レフェリーは不要である。
(3) 評点C:指摘した事項の改善・訂正を要請し、再レフェリーを必要とする。
(4) 評点F:不適格であり、受理すべきではない。

(総合判定にもとづく審査基準)
第10条 本委員会の審査は、投稿論文等のレフェリーの総合判定結果にもとづき、次の各号にしたがうものとする。
(1) 各査読者による総合判定がいずれも評点B以上の場合は、投稿論文等を受理可能なものとみなし、査読者によるレフェリーを終了する。ただし、総合結果が評点Bである場合には、指摘された事項につき投稿者に対し改善・修正を要請し、その改善・修正を本委員会が確認した後に投稿論文等を受理する。また、本委員会は査読者による指摘以外にも、論文としての形式や表現方法、投稿規定に準拠していない部分等の改訂・修正などについて改善を要求することができる。
(2) 一方の査読者の総合判定が評点C、他の査読者のそれが評点C以上の場合はレフェリーを継続する。
(3) 一方の査読者の総合判定が評点Fの場合は、他の査読者のそれが評点Cであっても、レフェリーを終了する。ただし、本委員会は評点Fを与えた査読者に代えて、新たに別の査読者を選定しレフェリーを継続することができる。
(4) 一方の査読者の総合判定が評点Fであるが、他の査読者のそれが評点B以上の場合は、評点Fを与えた査読者に代えて、新たに別の査読者を選任しレフェリーを継続する。
(5) 投稿者が、レフェリーの過程で投稿論文等を取り下げた場合は、レフェリーを終了する。
(6) 上記(3)号のただし書きに該当する投稿論文等が第2回目の総合判定においても評点C以下のときは、投稿論文等のレフェリーを終了する。
(7) 本委員会の審査は、査読者が3名以上である場合には、前項の各号を準用する。
(8) 本委員会は、投稿論文等の投稿者に総合判定の結果と掲載の可否を通知する。
(9) 本委員会は、受付けた投稿論文等を本学会誌に掲載することを決定した場合には、当該投稿論文等を受理するものとする。

(改正手続)
第11条 本基準の改正は、本委員会又は総務会が発議し本学会の理事会において審議し決定するものとする。

付則 本基準は、平成17年7月7日より施行する。
平成28年6月18日改正は同日から施行する。